これはファイナンシャルプランナーとしてよく受けるご相談の一つです。

年金の受給開始は原則65歳ですが、60歳から繰上げ受給も、75歳まで繰下げ受給も選べる時代。
だからこそ、「いつもらうか」で将来の家計に大きな差が出ることもあります。

けれど…実は、損得だけで決めるのはとても危険なんです。

この記事では「年金をいつから受け取るか？」を考えるうえで大切なポイントを、分かりやすくお伝えします。

日本の公的年金（老齢基礎年金・老齢厚生年金）は、原則65歳から支給されますが…

・60歳から前倒しで受け取る（繰上げ受給）
→ 最大5年早くもらえるが、毎月の金額は最大24%減額

・66〜75歳に遅らせて受け取る（繰下げ受給）
→ 最大10年遅らせると、毎月の金額は最大84%増額

この制度により、あなた自身のライフスタイルに合わせて受給のタイミングを設計できるのです。

損得で考えたくなる気持ち、よく分かります。
たしかに、シミュレーション上は「80歳を超えて長生きする人ほど繰下げがお得」と言われています。

でも、年金の受け取り時期を決めるうえでは、以下のような要素が深く関わります：
・60代の収入状況（まだ働いているか、退職済か）
・貯金や資産の有無
・健康状態や平均寿命への意識
・扶養する家族の存在
・他の年金（企業年金や私的年金）の有無

つまり、単純な「得か損か」では測れない“人生設計全体の視点”が必要なのです。

ファイナンシャルプランナーとしての実例から、タイプ別のおすすめをご紹介します。

● 繰上げ受給が向いている方
・早期退職していて、60代前半の収入が不安定
・預貯金が少なく、毎月の生活費がギリギリ
・体力に不安があり、長く生きる見通しが立たない

● 繰下げ受給が向いている方
・65歳以降も働く予定があり、収入がある
・健康に自信があり、長寿家系
・退職金や不動産収入など、他に資産がある

また、夫婦で年金の受け取り時期をずらすことで、世帯全体のキャッシュフローを安定させる方法もあります。

年金だけを単独で見ていても、最適な選択は見えてきません。

・今後の生活費や支出はどのくらい？
・医療費や介護のことは？
・何歳まで働く予定？
・他に収入源はある？

このような視点をもとに、キャッシュフロー表で「人生全体のお金の動き」を見える化することが大切です。

「年金ってもらうだけでしょ？」と思っていた方も、
人生設計の中で“いつからもらうか”を戦略的に考えることで、安心が手に入るのです。

「65歳だからもらう」
「損をしたくないから75歳まで繰り下げる」

そんな“なんとなく”ではなく、あなたのライフスタイルに合った受け取り方を考えてみませんか？

わたしたちファイナンシャルプランナーは、
数字と制度だけではない「あなたらしい選択」のために、伴走いたします。

よくあるご相談内容：
・繰上げ・繰下げって結局どっちが得？
・夫婦でいつ年金をもらうのがいい？
・年金額の見方がよく分からない…
・キャッシュフロー表を作ってみたい